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書面添付(お客様事例)

「税務調査省略を知らせる書類」と 「書面添付実践企業への表敬状」を手にする髙橋社長
沖縄の負の歴史を象徴する「不発弾」。戦後77年経った今も住民に不安を与え続けている。そんな不発弾の磁気探査を事業内容とする南西技術。沖縄の土木・建築になくてはならない事業を手掛ける同社の経営戦略について髙橋邦博社長と経理担当の神谷明美さん、比嘉孝明顧問税理士、安慶名祐巡回監査士に聞いた。

──事業内容を教えてください。

髙橋 沖縄では、第2次世界大戦で投下された不発弾が、いまだに多数埋没しているのですが、これらを鉄の磁気に反応するセンサーを使って探索し、その結果を報告するまでが当社の仕事です。もし見つかれば、自衛隊の爆弾処理班が処理するという流れになります。現在、当社のような会社は沖縄に約50社存在し、年間2トンもの不発弾が回収されています。
      髙橋邦博社長
──沖縄以外の国民にはあまり知られてない事実ですね。それにしても2トンとはすごい量です。

髙橋 地中に埋没している不発弾は2,000トン近くに上り、今後も少なくとも70年くらいは処理し続けなければならないと考えられています。当社でも年間20~30の現場を9名の社員でこなし、仕事が途切れることはありません。現在は、公共工事と民間工事が半々くらい。とくに高度な技術は必要ありませんが、危険な仕事なので、とにかく安全対策には万全を期しています。

──設立は1982年だと聞いていますが。創業の経緯は?

髙橋 創業期のことは正直よく分かりません。私は前職で土木関連の設計をやっていて、いつか独立したいと思っていたところに、この会社の譲渡を持ち掛けられ、その話に乗ったのが2003年のことでした。しかし、引き継いでみたら社長はすでにいなくなっており、会社の内情は大変で、すぐに倒産してもおかしくないような状況でした。

──どうされたのですか。

髙橋 しばらくは、いつやめようかと考えるほどでした。そうしたなか、借り入れのため信用保証協会に3年分の決算書を持っていった際、担当者の方から「顧問税理士を変えた方がいいですよ」と言われました。多分、決算書の中身がぐちゃぐちゃだったのだと思います(笑)。会社に帰ってそれを話すと、神谷が、「代わりの税理士先生を探してみます」と奔走してくれました。
      神谷明美さん
神谷 以前勤めていた職場の方が「とても良い税理士の先生がおられるよ」と紹介してくれたのが比嘉先生でした。

髙橋 06年に比嘉先生に顧問をお願いするようになってから、財務・経理の体制がしっかりし、なんとか上昇のきっかけをつかめそうな気がしていたところに、糸満市の工事現場で重機の接触によって不発弾が爆発し、2人が重軽傷を負うという事故がありました。その後、公共工事においては、事前の不発弾探査が義務付けられたのです。

──なるほど。そこから需要が大きくなったと。

髙橋 はい。その事故では、作業員の方が右目の視力を失う重症、近隣の老人ホームの入所者の方が足に軽傷を負われ、新聞にも大きく掲載されました。住民の方々の不安も大きくなり、沖縄県は不発弾への注意喚起を強化しつつ不発弾処理への補助制度を整備。当社のような処理業者も、住民の安全を守る業務を手掛けているのだと改めて認識させられた事故でした。
地表面で測定する水平探査(左)、発見された不発弾(中)、ボーリング孔内で測定する鉛直探査(右)

業績管理を徹底し無借金経営に転換

        比嘉孝明顧問税理士
──話を戻します。比嘉先生が顧問に就任された時、南西技術さんの財務はどのような状況でしたか。

比嘉 不明な仮払金や未収金など多数あって、引き継いだばかりだけに社長自身も何が何だか分からない状況だったと思います。たとえば車両も普通車が400万円で計上されていて、そんな高いはずはないと……。また、借り入れも大きく、資金繰りは厳しかったですね。

──自計化(企業自らが会計ソフトを導入して財務を管理すること)は?

比嘉 当初からTKCの建設業用会計情報データベース『DAIC2』を導入して、緻密な財務管理を徹底しました。「現場別工事台帳」で各現場の原価管理と進捗(しんちょく)管理をきっちりと行いつつ、監査担当の安慶名による月次巡回監査や四半期業績検討会で髙橋社長に数字を確認してもらい、年次決算につなげていくという流れをつくりました。そうした基礎を組みあげた後、さきほども出た公共工事の不発弾探査が義務化され、一気に業況が上向いたというわけです。いまでは利益体質が定着し、ほぼ無借金での経営となっています。
──髙橋社長と神谷さんが、2017年の「税務調査の省略」を大変喜ばれたとか。
比嘉 南西技術さんのように書面添付(※1)を履行している会社の場合、いきなり税務調査が入るのではなく、まずは税理士への「意見聴取」となります。その意見聴取の場で、当事務所の場合は、質問を受ける前に「意見陳述書」を調査官に渡し、月次巡回監査でどのような監査をしているかを説明するようにしています。17年の際にも、当然、意見陳述書の提出と意見聴取が行われ、結果として、税務調査が省略されました。これを髙橋社長と神谷さんにとても喜んでいただけたので、その時は私と安慶名も「会計事務所冥利につきる」という感じでした。

神谷 安慶名さんはすごく細かくて、毎月税務署の方が来ているのかと思うほど(笑)厳しく経理の内容を見ていただいていました。それが結果として現れたということで、とてもうれしかったです。

比嘉 調査省略の報告をお伝えした際に、神谷さんは感動してうるうるしていましたものね(笑)。

──「税務署のよう」と言われた安慶名さんはいかがですか(笑)。
     安慶名祐巡回監査士
安慶名 私は税理士法第45条2(※2)の「相当注意義務」を果たす手段として巡回監査と書面添付があると考えています。この2つを実践し、税務署に対して適時・正確に会計処理をしていることを伝えるのがわれわれの役割です。それもこれも、髙橋社長と神谷さんのご理解とご協力がなければできないし、ありがたいことだと思っています。

──添付書面の内容は?

比嘉 髙橋社長に現場ごとの原価や粗利を見てもらって合意をいただきながら作成しています。南西技術さんの場合、「業務の終わり」がどの時点なのかが難しく、そのあたりも確認しながら、税務署に正確に伝わるような情報を記載しています。

──社長と対話しながら作成するというのがポイントですね。

比嘉 意見聴取を受けた際に、「概要報告書」をつくって髙橋社長にお見せしました。どう意見を述べ、どう受け答えしたかといったようなことです。私は、会計事務所は「業務の見せる化」が必要だと考えていて、書面添付制度はそのツールとして最適だと思います。また、職員(安慶名)がやりがいを持てたのも大きかった。書面添付制度というのは、調査の省略をもらうのが唯一の目的ではないということですね。

──髙橋社長はいかがでしょう。

髙橋 私は税務に関しては素人で、分からないことだらけなのですが、税務調査の省略には驚きました。こんなこともあるんだなと。税務調査なんて恐ろしくて経営者にとっては考えたくないことです。それが省略されるだけでも書面添付には大きな意味がある。同業者にも「こんな制度があるよ」と伝えたいほどです。

──将来的な目標を教えてください。

髙橋 本業以外のことをするつもりはありません。パイが限られているなかで、業務品質を上げながら、昨年より今年、今年より来年と、いかに売り上げ・利益を伸ばしていくかを追求していきます。スローガンは「みんなで良い生活をしよう」です。そのためにも、業界トップを目指していきます。
※2 税理士法第45条2「相当注意義務」
税理士が専門家として知識経験に基づき通常その結果の発生を予見し得るにもかかわらず予見しえなかったことにより、真正の事実に反する税務書類を作成した場合、処分されることがある。

(本誌・高根文隆)

会社概要

名称    
有限会社南西技術
設立
1982年6月
売上高
約3億円
所在地
沖縄県宜野湾市上原2-10-2
従業員数
9名
顧問税理士
比嘉孝明税理士事務所
税理士 比嘉孝明
沖縄県那覇市銘苅3-6-20
戦略経営者2022年4月 APRIL NO.426
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